やろうと思えば悪用できてしまう? 「圧縮効果」
皆さんこんにちは。七語零黎です。
新型コロナウイルス感染症拡大に伴う「ステイホーム週間」と言うことで、大半はご自宅で過ごされている方も多いかと思いますが、如何でしょうか。
今日はカメラの話題。まずは下の写真をご覧ください。
これは2019年3月30日に目黒川沿いで撮影したものですが、結構多くの人でごった返しているように見えます。
さて、この状態で人は歩けるでしょうか?
・・・答えは「歩けます」。
撮影当時は桜のピーク時かつ土曜日だったので、人混みはありましたが何とか歩ける状態でした。今だったら「3密」に引っかかりますね。
「歩けない」と思ったあなたはこの写真に騙されていますよ。
この写真は望遠レンズ(EF70-200mm F2.8L IS III USM)を使用し、あたかも人が多く見えるように撮影しています。これを「圧縮効果」と言います。
「圧縮効果」は、近景(カメラに近い場所)と遠景(カメラから離れている場所)が重なって見える現象の事を指します。特に望遠レンズはその効果がより強く出ます。
なぜ、望遠レンズは圧縮効果が強く出るのか?と言うと、望遠レンズは広角・標準レンズよりも画角が狭いから。
この画角の狭さが「圧縮効果」をより強めてくれるのです。
ちなみに「圧縮効果」は望遠レンズのみとお思いの方が多いかと思いますが、この効果は望遠レンズに限ったことではありません。
広角レンズ・標準レンズ・コンデジ・スマホのカメラでも起こせます。皆さんも勘違いはなさらないように。
さて、この「圧縮効果」を使った例を見てみましょう。
2018年11月23日に撮影した神宮外苑のイチョウ並木。
これも先ほどの目黒川と一緒で、あたかも人が多く見えるような手法を取っています。
ちなみにこの状況でもまだ歩けます。
2018年12月8日に撮影した六本木けやき坂イルミネーションからの1枚。
人混みもそうですが、車が多く行き交うようにも見えますね。「タムキュー」を利用して撮影しました。
2019年10月13日に撮影した夕暮れの浅草。
スカイツリー特別ライティング撮影のついでに撮影したものです。こちらのみ標準レンズ(高倍率ズーム)を使用して撮影。
この「圧縮効果」ですが、残念ながら悪用される例も出て来ました。
それは「メディア」。メディアはこの「圧縮効果」を巧みに利用して印象操作を行っているのです。
下記にわかりやすい例を載せますので是非ご覧ください。
こんなに「印象操作」が簡単にできてしまうなんて…コロナ禍(か)の比較写真
https://news.livedoor.com/article/detail/18205442/
低空飛行かと思ったら意外と高い?羽田新ルートの試験飛行がスタートして東京の上空に飛行機が見えるように
https://togetter.com/li/1463633
(※該当する写真は1枚目と2枚目)
これらは全て「圧縮効果」を利用したものですが、人を惑わせる力を持っているんですね~
メディアにとっては記事掲載に好都合でしょうけど、正しい理解を持っている人々にとっては「いや、そうじゃない」など不快としか思えませんよね?
「圧縮効果」を使っただけでこんなにも恐ろしい写真が出来てしまうのです。
今回は「圧縮効果」の件についてお伝えしました。
「圧縮効果」はプラスにもなるし、「メディアの印象操作」のようなマイナスにもつながる写真の手法といってもおかしくはありません。
使い方によっては人を騙すことだって出来るのです。
皆さんも是非この「圧縮効果」を使って面白い写真を撮影してみてください。ただし、人々がマイナスにつながるような写真は禁物です。
ではまた。
{参考、一部引用}写真用語集 – 圧縮効果(キヤノンイメージゲートウェイ)
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